緩水溶性ガラス
緩水溶性ガラス
SDGs「14.海の豊かさを守ろう」に貢献
ゆっくりと水に溶けるガラスの開発
緩水溶性ガラスとは?
ガラスの組成・構造をアレンジすることで生み出される全く新しい機能性ガラス素材です。ガラスに溶け込ませた有効成分がゆっくりと水に溶け出す特性を利用し、一定期間継続的に水中に作用を促す効果が得られます。東洋ガラスでは、緩水溶性ガラスの特性を活かした製品展開を行なっています。
■ イオンカルチャー
1. イオンカルチャープレート
2. イオンカルチャーパック
■ 銅イオン溶出ガラス
イオンカルチャ-( 藻類増殖材 )
陸上生物の作用により隔離し貯えられる炭素がグリーンカーボンと呼ばれるのに対し、海洋生物の作用により隔離し貯えられる炭素はブルーカーボンと呼ばれています。ブルーカーボン生態系は、大気中の二酸化炭素を除去し長期間貯留するという重要な役割を担っており、今後の地球温暖化対策として近年注目を浴びています。
東洋ガラスは、株式会社不動テトラとの共同開発により、ブルーカーボン生態系の促進に貢献する製品群「イオンカルチャー」の普及を推進しています。
1. イオンカルチャープレート
◆ 海洋沿岸部の大型海藻養殖・漁場造成に利用
- プレート形状で、テトラポッド(消波ブロック)への装着など、施工が容易です。
- 約10年間、二価鉄・ケイ酸・リン酸イオンを溶出します。
- 海藻類や植物プランクトンに必要なリン、ケイ素、鉄などの栄養素が海中に溶け出しイオン化されます。特に光合成を促進する鉄分は、藻類の細胞に直接吸収されやすい二価の鉄イオンで溶出されます。
- 長期にわたり安定した効果が得られます。耐久性にも優れ、溶出期間の制御も可能です。
2. イオンカルチャーパック
◆ 珪藻増殖に利用
- アワビやウニなどの種苗生産時、稚貝の初期餌料となる珪藻の増殖に利用されています。
- 約3ヶ月間、二価鉄・ケイ酸・リン酸イオン・窒素肥料を溶出します。
- イオンカルチャーと緩効性窒素の組み合わせで、高い増殖効果をもたらします。イオンカルチャー〈F〉はFe(鉄)を、〈P〉はP(リン)を、〈S〉はSi(ケイ素)を多く溶出します。溶出する鉄分は二価の鉄イオンです。
- 長期間、徐々に栄養成分を溶出するため、維持管理の手間がかからず経済的です。
銅イオン溶出ガラス
◆ 防藻・除菌・抗菌機能を有するガラス(PNU)
東洋ガラスは、緩水溶性ガラス技術により、銅イオン溶出ガラスを開発しました。水分を与えることによって、緩やかで継続的に銅イオンを溶出し、銅イオンによる長期間の殺菌効果を得ることができます。
銅イオンは微量でも各種の菌に対して除菌・抗菌効果を現します。また、菌類だけでなく、フジツボなどの貝類やナメクジなどの大型生物も銅に対して忌避行動を示すことが知られています。東洋ガラスが開発した緩水溶性ガラス〈PNU-30〉〈PNU-40〉は、水中に保持すると長期間にわたって銅イオンを溶出するため、さまざまな除菌・抗菌・忌避効果が期待できます。また、用途に応じて組成比率や粒度を調整することで溶出期間や溶出濃度を調整することも可能です。
◆実用化例①:養殖漁網の防汚材料
漁網に海藻や貝類が付着するのを抑えるための添加剤として使用されています。特に、養殖場で使用される網は、付着物による網目の閉塞により海水の流通を阻害し、飼育する魚類の病死などに繋がります。
◆実用化例②:芝生の育成
ゴルフ場のグリーンに生える苔や藻を抑制する『効果発現促進剤』として使用されています。(農薬ではありません)苔、藻を抑制して、芝の生長環境を回復させます。現在、関東地区、山口県を中心に約50か所のゴルフ場で使用されています。